胡蝶蘭の育て方

かつては高根の花と呼ばれ、高級鉢花の代名詞ともなっていた洋ラン。しかし現在では大量生産の手法も確立され、庶民にも愛される花の一ジャンルに落ち着いた感があります。
その中でも現在特に人気なのが胡蝶蘭。白やピンクの丸い花がアーチ状の花茎に十数輪、優雅に咲き並ぶ姿はまるで蝶の群れが舞う様。胡蝶蘭の学名は多くの人がご存じの様にファレノプシスですが、これはラテン語で「蝶(あるいは蛾)の様な」という意味であり、まさにピッタリと言えるでしょう。
「幸運が飛んでくる」という花言葉からも大変縁起良く、それゆえ様々なイベントで贈答品で頂く機会も多く、またフラワーショップに並ぶ素敵な寄せ植えを見、購入し自宅に飾る人も多いかと思います。
ただ花は素敵でも、実際に育ててみようとなると勝手が全く分からず、またコツが掴めず上手くいかないという人もよく見ます。実際のところ、そのコツさえ掴んでしまえば意外と胡蝶蘭の栽培は簡単であり、毎年、いやコンディションが良ければ年に2回も花を咲かせる事だって難しくは無いのです。
では具体的な栽培の仕方を見てゆく事にしましょう。

①胡蝶蘭を入手したらすべき事
市場に出回っている大半の胡蝶蘭は大きなプラスチック鉢に数株の寄せ植え、あるいは1株植えとなっています。特に最近では2、3株の寄せ植えとなっているケースが圧倒的に多く、胡蝶蘭が本来好む株の姿ではありませんから、花が終わり暖かくなったら必ず植え替え、1株づつ管理してやる必要があります。
ですが先ずは目の前の素晴らしい花を楽しむ事が大事。花持ちを良くする為には温湿度の管理が重要です。
胡蝶蘭のベストな置き場は一般の家庭であれば、日中レースのカーテン越しに薄日の差す窓際やリビングのテーブルがベストですが、購入時期が寒い冬の場合、明け方の窓際は冷え込みますから最も気温の高い寝室や部屋の中央に移動し、寒さに当てない事を心掛けます。冬場で室内の最低気温が10度を割り込む様であれば、鉢の上からダンボールを被せるといった対策が効果的となります。
胡蝶蘭は根が水浸しの環境を特に嫌います。若干の乾燥と湿気が交互にやって来る環境を最も好みますから、通気性ほぼゼロのプラスチック鉢の環境は胡蝶蘭にとってあまり好ましくありません。
特に花を咲かせている最中は水を吸いませんから、意識して水やりを控える事が大事です。一回十分な水やりをしたら、植え込み材料となるミズゴケの表面が十分乾くまで次の水やりは徹底的に控え、その間は株全体への定期的かつ入念な霧吹きに留めます。霧吹きは株のコンディション維持や花持ちを良くする為に1日数回必ずやっておきたいものです。
花が終わりあらかた萎れてしまっても、実はもう一回花を咲かせるチャンスはあります。
胡蝶蘭の長い花茎には数センチ間隔で節があるのですが、根本から5、6節を残し先をカットしておくと、しばらくして残った最も先端の節から再び花茎が伸び、数カ月後に再び花が咲くのです。
ただ寄せ植えで葉にも元気が無く、株の力が明らかに消耗している時は避けるべきでしょう。

②初夏から秋の成長期はどうやって管理する?
花が全て終わり、温湿度もぐんと上昇する初夏に入ると、ようやく胡蝶蘭も葉や根を活発に伸ばす成長期へと突入します。
主な管理イベントのタイミングは新しい葉や根が元気良く伸び出した頃。太い根の先端が瑞々しい緑色となり、また交互に出ている葉の付け根から新たな葉が伸び出した頃が、植え替え等の適期です。
プラスチック鉢に植わっている株に対しまずすべき事は植え替えです。より通気性の高い素焼き鉢に1株づつ植え替え、フレッシュな状態にしてあげる事です。
植え替えは株から古い植え込み材料や腐った根や葉を全て取り除き、新鮮なミズゴケで根元を包み素焼き鉢に軽く押しこんであげるだけでOK。
梅雨明けまでの期間は雨に当てぬ様通気の良好な窓際等の室内で、梅雨が明け本格的な夏が訪れたら思い切って戸外に出し、庭木の明るい木陰に吊るしたり強めの遮光材を掛けた下の栽培棚に鉢を置き、管理します。
成長期の水やりは、植え込み材料のミズゴケが乾き掛けたらすぐ、鉢底から十分水が出る程たっぷりと与えるのが基本。自分の都合の良いタイミングではなく、あくまで植え込み材料の乾き具合で判断し水やりを調整すると良いでしょう。
胡蝶蘭は成長期でさえあまり強い肥料は好みません。栽培に自信が無ければ置き肥は一切止め、洋ラン専用の液体肥料を数日に1回程度水やりと共に施してあげる程度がベストです。初心者なら希釈する必要の無い、鉢に直接与えるタイプが便利でしょう。
害虫で特に注意すべきはナメクジで、弱い葉や根、花茎の先端を食害します。夜中に鉢周りをチェックし補殺するのがベストですが、鉢元に置くタイプの殺虫剤を施すのも良い方法です。

③花茎が伸び出したら…
秋から冬にかけ気温が次第に下がって来ると、胡蝶蘭も葉や根の成長を止め、休眠期へと移行します。根や葉の伸びが鈍くなってきたら次第に水やりのスパンを広げ、乾燥気味に管理する様にします。
本格的な秋雨シーズンに入る前に元の通気良好な明るい出窓等に取り込み、雨に株を当てない様に心掛けます。もちろん肥料も完全に打ち切り、株元をチェックし花芽の伸長に備えます。
花芽は早ければ晩秋くらいから株元、ちょうど葉の付け根辺りから上に向かって伸び始めます。最初は根との区別が紛らわしいのですが、しばらくすれば完全に先端が上を向き、また先に書いた節が確認出来る様になりますので、容易に判別出来る様になります。
気温が高めに管理可能であれば、寒い冬を通じて少しづつ花芽は伸びていきますが、花茎が数十センチに達し、少しづつ先端がアーチを描き始めたら、折れない様支柱を立て上手く誘引してあげる必要が出てきます。これは花の見栄えを良くする為にも重要です。
先端がUの字に曲げた支柱を立て花茎を支えてあげるのも良いですし、それらが無ければ直接支柱とビニタイや紐で結んでも良いでしょう。

④胡蝶蘭は周辺環境とメリハリが大事
胡蝶蘭は常に株に対し手間暇を掛ければ良いというものではありません。むしろ株の周辺環境を整えてあげる事、そして水やりを始めメリハリの利いた管理が大事なのです。
年間を通じて15度から25度の気温、70パーセント以上の湿度、木漏れ日程度のやわらかな日照という環境さえ確保出来れば、水やりだけ気を付ければ他に全く手を掛けなくとも勝手に成長し花を咲かせてくれるのです。
人間側がいかにそれに近い環境を安定して作り出してあげるかが重要であり、胡蝶蘭や他の洋ランの為に、それらの環境が容易に維持出来る温室やワ―ディアンケースを持つという選択肢も入ってくるでしょう。
いずれにせよ四季がはっきりしている日本で胡蝶蘭を栽培する上でのテーマであり、また醍醐味でもあるのです。

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